ラスト『来々軒』
『来々軒』というラーメン屋さんがあります。
残念なことに今月末でお店を閉めるそうです。
86歳のおばあちゃんと従業員のおじいちゃんがいて、業歴は60年以上だそうです。
小さい頃、父母にお願いして出前で食べさせてもらいました。
20年ぶりくらいに食べた味は、
ワクワクしながら配達のおじさんを待ち、
『あちち、あちち。』
と、言いながらラップと輪ゴムを外し妹と食べた、
何か魚のおだしに醤油味の懐かしい匂いと味でした。何も変わりません。
でも、私より懐かしむのは父のようです。
店の中は、『来々軒』で育った地元の人ばかり。
満員御礼で調理場は大忙し。『今日は出前はやってない!!悪いね!!』
ラーメンの出てくる後先順番が変わってしまうのは
86歳のおばあちゃんの
『ごめんね、お待たせして』の愛嬌でカバー。
『俺達が小学生、中学生の時は、100円持ってここでラーメン食って映画見て帰ったもんだ』
と、懐かしそうに父と店にいるおじさん、おばさんは語らいます。
今では、430円。
大盛はプラス70円。
メニューは以上。
古いストーブに、
統一してないテーブルと椅子、
お冷やの用意はなく、
どんぶりサイズも様々、
そんな『来々軒』は
尾去沢の多くの人に味という記憶を残し、
老若男女個々の思い出を作り、
愛されてお店を閉めて行くんですね。
車の中で父上が
『俺は今月三回目だ。もうこの味も味わえなくなるんだなぁ。淋しいな』
と。
父上と私、
それぞれの思い出を噛み締めながらの今日のお昼ご飯でした。